2024年も締めくくりの月となりました。
それぞれの場所で、お変わりなくお過ごしでしょうか。
今年の熊本の残暑は長く、11月中旬まで半袖、裸足で過ごしていましたが、
ある日突然冬がやってきて、大急ぎで羽根布団やダウンコートをひっぱりだしました。
冬がきてくれてよかった。
半袖でクリスマスにならなくてよかった。
江津湖で越冬する渡り鳥たちも、嬉しそうに啼き交わしています。
12月のレッスンは、深い呼吸と共にマインドフルなヨガを行っていきます。
一年を振り返りながら、みなさんとおしゃべりをする時間がとても楽しみです。
今年の秋は気温が下がらず、江津湖周辺の紅葉もここ1週間でようやく深く色づいてきました。
なかなか年末ムードを感じられずにいましたが、家族が庭にクリスマスイルミネーションを取り付けてくれたおかげで、冬の空気感がぐっと増しました。
みなさんにとって、12月を感じる時はどんな瞬間ですか?
私は中学生のころ、家族でアメリカ北部のウィスコンシン州に住んでいました。
ウィスコンシン州は、北緯45°、冬の最低気温はマイナス10度を下回ることも少なくない、カナダ国境に位置する農業が盛んな地域です。
人口のほとんどが白人で、アフリカ系アメリカ人や、私たちのような黄色人種はとても少なく、やさしい大人たちに守られながらも、学校では自分がマイノリティ(少数派)であるということを痛いほど感じる日々を送っていました。
そして迎えた初めての12月。
アメリカのクリスマスは夢のように素敵でした。
各家庭で総力をあげて飾られるクリスマスイルミネーションは日本の比ではないですし、クリスマスにまつわる音楽会やショーは毎日のように行われ、ホリデー気分を大いに盛り上げてくれます。
アメリカでは多くの人がキリスト教を信仰しているので、この季節はきらびらやかな中にも厳粛な空気が漂い、家族や大切な人たちが集るギャザリングのシーズンでもあります。
そしてアメリカの方たちが、信じられないほど大量のギフトを準備して、自分と関わりのあるあらゆる人に惜しみなくプレゼントする姿に驚きました。
クリスマスとは、親しい者同士が互いに感謝と愛情を伝え合う行事だということを、初めて知ったのです。
そんなアメリカのクリスマスの中でも、私の中で強く印象に残っているのは、クリスマスの「香り」です。
甘く、スパイシーで、それでいてどこか奥深いところで懐かしさを感じる独特な香り。
大人になって知ったのですが、これは「クリスマス スパイス」とよばれる、シナモン・アニス・カルダモン・オールスパイス・ナツメグ・クローブなどを合わせたもので、アメリカではホットワイン、スイーツ、お肉料理のソースなど、さまざまなドリンクやお料理に使われています。
私がこの香りを強く感じた、忘れがたいワンシーンがあります。
ウィスコンシン州に雪がしんしんと降り積もる、極寒のクリスマス・イブの夜。
家族や友人たちとクリスマスキャロル(讃美歌を歌いながら家々を回る風習)を終え、やっとの思いでたどり着いた友人宅で、「どうぞ」と手渡されたのがクリスマススパイスがたっぷり入った”ホットアップルサイダー”でした。
”アップルサイダー”とは、その秋に収穫されたりんごで作られた新鮮なりんごジュースのことで、炭酸は入っていない、秋から冬に出回るナチュラルな飲み物です。
凍てついた外の世界から、温かな部屋の中に足を踏み入れると、シナモンとクローブの香りが部屋中に満ちていて、差し出されたホットアップルサイダーを一口飲んだ瞬間、全身をリンゴの甘酸っぱい風味とスパイスの香りが駆け巡り、クリスマスの喜びと祝福に包まれたかのような感覚をおぼえました。
ホットアップルサイダーの写真、インターネットからお借りしました
当時、私は14歳。
瞬く間に36年が過ぎました。
あの頃一緒に過ごした人たちは、今はどうしているでしょうか。
今年は熊本で、懐かしい思い出に浸りながら、ホットアップルサイダーを作ってみようと思います。
さて、先月11月21日(木)にYOGA座学会の最終回を行いました。
今年は6名の固定メンバーと私の7人で、約10か月間の時間をかけてゆっくりとヨガ哲学の学びを深めてきました。
今年は、ヨガ経典『ヨガ・スートラ』に説かれている八支則(ヨガを深める8つのステップ)から、ヨガの道徳的規範である「ヤマ」を中心に据え、5つのテーマを、経典の学び、ワーク、参加者同士のシェアリング、そして毎回のレポートを通してじっくりと考えていきました。
ヨガ哲学は、紀元前から現代まで受け継がれてきた「人間とそれを取り巻く世界の構造とつながりをどう解釈するか?」という思想体系ですが、ヨガという切り口は膨大なインド哲学の中のほんの一部分にしかすぎません。
例えていうなら、インド思想という大木における、ヨガは一本の枝、というイメージです。
また、インド哲学はいくつもの派閥に分かれており、それぞれの派で解釈が異なる矛盾も多く、総体的に学ぶことはとても困難です。
今回の講座では、はじめの一歩として「ヤマ」5つのテーマをやさしく解きほぐし、自分の体験や今感じていることに紐づけることで、「なるほど」と腑に落としていくプロセスを大切にしました。
そして、7人でたくさん話し合い、テーマへの自分の思いや考え方を伝え合うことで、お互いへの理解や共感が生まれ、自分の内面に潜んでいた感覚や思いを、自分の言葉として明確に伝えられることがどんどん増えていきました。
これは、同じ空間、同じ時間、同じ学びを共有した仲間だからこそ育まれた、”響き合い”のようなエネルギーだったと感じています。
「なんとなく過ぎていく毎日に、杭を打っていく作業」それが『学問』なのではないかと考えています。
学びを通して、思考を自己レベルより上に上げることで広く世界が見えてきますし、自己レベルから深く掘り下げてくることで、物事の本質に出会うことができます。
それはきっと、インド哲学に限らず、どの学問分野でもいえることでしょう。
今年の学びも参加してくださる方がいらっしゃったからこそ実現できました。
学びをご一緒した、聡明で美しい6名のみなさまに心より感謝しています。
来年のYOGA座学会につきましては、年明けにお知らせの予定です。
今後のご案内ですが、12月15日(日)秋津公民館にて、今年最後のオープンクラスを開催いたします。
今回は、アーサナで体を整えた後に、呼吸法やメディテーションを通して心をゆっくりと鎮め、新たな気持ちで新しい年を迎えられるように、心身のチューニングを行う内容です。
残席わずかとなっておりますので、ご興味のある方はぜひお早めにお申し込みください。
そして、2024年1月24日(金)開催の『はじめてのアーユルヴェーダ』ワークショップは、満席のご予約を頂いております。
とても嬉しく、ありがたく思います。
アーユルヴェーダの講座開催は初めてですが、参加者のみなさまとの新たな学びの時間をとても楽しみにしています。
今年1年を振り返るような報道や記事が増える季節ですね。
ご自分にとっての、2024年トピックスをまとめてみるのも楽しいかもしれません。
今年、一番うれしかったことは?
今年、初めて体験したことは?
今年、ハマったことは?
今年、達成感を感じたことは?
今年、食べておいしかったものは?
今年、自分を支えてくれた人は?
ちなみに、私が今年一番うれしかったことは、11月に親しい仲間・息子と共に久住山(1791m)登頂を果たしたことです。
今でも、心の中にじんわりと感動の余韻が残っています。
息をのむほど美しい久住の峰々
年末は何かと気ぜわしい時期。
時に自分の心や体と対話しながら、調和のとれた毎日をお過ごしくださいね。
みなさまにとって、2024年最後の月が、健康が守られ、心穏やかな日々となりますように。
素敵な12月をお過ごしください。
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