長月、9月がスタートしました。
立秋をだいぶ前に過ぎ、秋分の日まであと3週間ばかり。
朝夕の風の心地よさに、陽の傾きに、秋の気配を感じるようになりました。
あれほどにぎやかだった蝉の声も、お盆を境にぱたりとやみました。
本当に、今年の夏も暑かったですね。
夏は暑いのが当たり前なのですが、当たり前のことをさぞ初めて知ったかのように語り合う、それが平穏な日常なのだと思います。
9月、10月と厳しい残暑が続くという予報を耳にしましたが、アーユルヴェーダでは、これからの季節は、乾燥・冷性・動性のエネルギーである『ヴァータ(風のエネルギー)』が優位となる季節に移行していきます。
体や心の弱いところに不調が出やすい時期でもありますので、この1か月は忙しくなりすぎないよう、特に注意が必要です。
私の個人的な9月のキーワードは、「潤い」「休息」そして「美しいものに触れる」です。
夏の疲れを秋に持ち越さないために、そしてやがてやってくる寒さや感染症に心身が耐えられるように、夏の終わりから丁寧に自分ケアをすることが大切な季節の変わり目。
まず「潤い」ですが、アーユルヴェーダではオイルケアがとても重視されています。
特に、頭皮、耳、そして足の裏をピュアオイル(セサミオイル、アーモンドオイル、オリーブオイルなどできるだけ添加物が入っていないもの)を、一日に数回すり込むことで、体の表面と内側が潤い、病やアレルギーなどあらゆる不調から体を守る抵抗力がつくと考えられています。
また食事面では、骨付き肉を煮込んだスープなどで内側からの潤いを補充し、純度の高い油(ごま油、オリーブオイル、バター)などを適度に料理に使うことも勧められています。
「休息」は、睡眠と余暇を楽しむこと。
夏場は暑さやクーラーの違和感で睡眠の質が保てなかった方もいらっしゃるのでは。
余暇は、お休みの日はしっかり休むこと。週に1日は家事や仕事からできるだけ離れて、心が喜ぶことをしましょう。
最後に「美しいものに触れる」ですが、これは心の潤いに通じます。
自然や、アート、音楽に接することも素敵ですし、爪や肌のお手入れをしたり、心躍るお洋服を新調するのも素敵ですね。
美しいものに触れたり身につけると、自分が本来持っている純粋な感覚が目覚めます。
ヨガでは、「人間の身体は魂という神様が住む神殿である」という考え方があります。
五感から受け取る美しく純粋な感覚は、魂にお供えする花のようなもの。
また、自分を美しく健やかに整えることは、体という神殿を祝福すること。
どうぞ、夏を乗り越えた自分に贈り物をするように、美しいものに触れたり、身につけることを自分に許してあげてください。
特に、この時期優位になるヴァータ(風のエネルギー)を整える、骨盤や股関節にアプローチするポーズをじっくり行います。
暑すぎる夏で引きこもりがちだった方も多いようですので、負荷のかかりすぎない範囲で全身の巡りをよくするような、のびのびとしたポーズも加えていきます。
また、ヨガ・ニドラ(眠りのヨガ)や瞑想で神経系を静かに落ち着かせる時間も大切にします。
9月の過ごし方で、これから向こう半年の体調が決まると考えています。
どうぞ無理をせずに、自分に合ったヨガやアクティビティをお楽しみくださいね。
さて、この夏はいかがお過ごしでしたか?
レッスンに来られるみなさんから、それぞれのご報告を受けるのがとても楽しみです。
三者三様、楽しいこともあれば、悩ましいこともある。
それは、少なからずとも自分以外の誰かとの社会的なつながりの中で暮らしている証拠ですね。
私は、自分自身との一騎打ちのような、気力体力の限界値を見極める日々でした。
主に、小学校三年生の息子との関わりから派生することなのですが、こちらの思うようになかなか事が運ばず、目の前の1秒1分に折り合いをつけながら過ごしていたように思います。
うまく比喩できませんが、この1か月半、ずっと上空を飛んでいる飛行機の中で暮らしていたような感じです。
常に不規則な振動で体が揺さぶられ、極端に狭い空間で、空気が薄く、行動が制限され、思考もほぼ停止している状態。
早く地上に着陸して、外の空気が吸いたい。
でも、どの国のどの空港に向かっているのか分からない…。
新学期が始まってはっと我に返ると、それらすべての感覚は私の内側から発生しているものであって、誰のせいでもないのだ、と思えるのですが、渦中にいる時は、自分を見失わないように必死でした。
改めまして、北半球のお母さんたち、夏休み本当に本当にお疲れさまでした。
そんな修行の日々であったこの夏、美しい思い出として刻まれているのは、家族旅行で訪れた鹿児島県の離島「甑島(こしきしま)」の風景と島に暮らす人との出会い。
今もあの場所に自分の心を置いてきたのでは、と思うほど郷愁に似た感覚で胸が痛くなるようです。
鹿児島県の川内港から高速船で約1時間、大きな岩のような島が三つ連なった甑島列島。
2020年に完成した甑大橋によって、今では3つの島はつながっていますが、それまで島間の移動はフェリーでした。
島民の暮らしは、何でもある町の暮らしに比べればとても質素。
海と共に暮らし、風と共に暮らし、そして人と人のつながりの中で暮らす。
その土地に生まれて、その土地から受け取れるもの、それ以上でもそれ以下でもない暮らし。
この甑島は、吉岡秀隆さん主演の大ヒットドラマ『Dr.コトー』の原作漫画の舞台となっています。
ドラマや映画では、沖縄列島の架空の島という設定で、ロケーションは与那国島で行われたそうですが、
離島医療の厳しさを描いたこのドラマをご覧になったことのある方は、離島を取り巻く状況がなんとなく想像がつくかもしれません。
島に住む人の数は、年々減り続けているそうです。
極限の地に暮らすことの、清々しさ。
でも、島民の方々が対峙している現実は、旅人が感じるセンチメンタリズムとはかけ離れた次元なのでしょう。
それでも、私自身の、迷いと惑いの多い日々の暮らしを顧みて、その堂々とした有機的な暮らしがとても羨ましくもありました。
そして、どこで、誰と、どのように暮らすのかは、自分で選べる。
そして今の自分の暮らしは、自分の意志で選び取ってきたものだ、と感じました。
写真家である星野道夫さんの言葉。
”いつか大人になり、
人の言葉ではなく、
いつか見た風景に励まされたり、
勇気を与えられたりすることが、
きっとあるような気がする。”
旅とは何か?
安泰の生活圏を飛び出し、
役割という重力から解放され、
できれば、その体験を言語化する。
その一連の作業が、人生という一つの道の地固めになるのではないのか?
だから、もっと旅に出よう、と気持ちを新たにしました。
若いころの私が、臆することなく、バックパック一つで世界へ飛び出していったように。
いくつになっても、旅は私たちを新しく生まれ変わらせてくれるはずです。
さて、冒頭の話にもどりますが、「美しいもの」は、”味”という一文字を加えるだけで「美味しいもの」にも変換できますよね。
あらま⁈ 不思議。
9月と聞いただけで、胃のあたりがきゅぅっとなるのは、なぜなのでしょう。
秋の恵みを感謝して受け取りながら、それをエネルギーに変えて、なにかしらのポジティブな循環がうまれますように。
もとい、私は前述のとおり体力気力を消耗しきっておりますので、9月前半は全力でぼんやりしていきたいと思います。
気温が下がり、秋らしくなってくるとヨガがとても気持ちの良い季節到来でもあります。
心地よい風を感じながら行うヨガ、これ以上の贅沢はありません。
これからのヨガイベントについてですが、9月15日(日)に秋津公民館で週末オープンクラス、10月6日(日)は江津湖早朝ヨガがあります。
オープンクラスはお申し込みが必要です。
どちらも、夏の疲れを癒し、秋を迎え入れるようなマイルドな内容にしたいと思っています。
お時間許す方は、どうぞお出かけください。
久しぶりにスタジオでじっくりヨガしたいな、という方もご連絡お待ちしています。
ゆっくりヨガして、お茶を飲みながらおしゃべりしましょう。
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